アフターコロナに向けてM&Aで大事な要因
◆後継者問題とM&A
年々経営者が高齢になっており「会社を誰に承継するか」が大きな課題となっています。
経営者自身の健康問題、新規企業の参入による市場競争の激化などにより、人手不足などの問題を抱えた企業の将来に対して、日々差し迫ってくる不安を解決する必要があります。
このような状況の中で、中小企業の経営者が会社を任せる後継者を見つけるための解決策の一つがM&Aです。
新たな後継者に自身の企業を任せることで、従業員の雇用や取引先との契約が継続されるため、従業員や取引先への影響も最小限に抑えることが可能です。
また、借入金などの連帯保証も解消し、M&Aでの譲渡対価により引退後の第二の人生を楽しむための資金に充てることもできます。
そのため、M&Aはリスクを最小限にして会社を存続させる手段のひとつとも言えます。
◆中小企業における活発な事業継承
近年、中小企業の事業承継におけるM&Aは活発に行われており、M&Aは経営者の高齢化や人口減少に伴う後継者問題や人手不足を解決する有効な手段として注目を浴びています。
一方で、M&Aは中小企業が新事業展開や事業規模の拡大を図り、より成長するための選択肢でもあります。
今後、2025年までに経営者が70歳を超える事業体のうち、法人の31%、個人事業者の65%が廃業し、約127万社で後継者不在が問題になるとされています。
そのため、現状のままいくと2025年までに累計で約22兆円のGDP(国内総生産)と約650万人の雇用が失われると予測されています。
◆事業ポートフォリオの最適化
また、市場全体の問題として、多くの業界において市場が縮小している昨今、自社が置かれている現状を把握し、将来の事業計画を見直す必要があります。
M&Aは今後の事業成長やニーズが高いと見込まれる事業に集中するための手段でもあります。
自社の伸ばすべき事業を判断して事業を見直すことでコストを大胆に削減し、そこで捻出した資金や人材をコア事業に充てることで経営を最適化することも可能です。
自社が切り離しを検討している事業であっても、別の企業にとってはシナジーが見込める魅力的な事業である場合もあります。
事業を取捨選択し、組織を再編することで、企業のさらなる成長に繋がります。
また、以下の記事で、2018年上半期に注目されたM&A事例を紹介しています。興味のある方はぜひご参照ください。
https://relic.co.jp/battery/articles/12426
◆直近で注目されているM&A
アドビのマルケト
世界を変えるデジタルエクスペリエンスを提供しているアドビは9月21日、B2B企業向けのマーケティングにおけるクラウドプラットフォームを手掛けるマルケトを、47億5,000万ドル(約5,330万円)で買収することを発表しました。
5,000社ほどの顧客を持つマルケトは、多種多様な業界の企業に対し、プランニングやエンゲージメントなど、統合的なB2B向けのマーケティングプラットフォームとして提供しています。
効果と期待
今回のアドビの買収により、Adobe Experience Cloudが持つアナリティクス、コンテンツ、パーソナライゼーション、広告、コマース機能などが、マルケトのリードマネジメントとアカウントベースのマーケティングテクノロジーと統合され、B2B企業に大規模なマーケティングエンゲージメント作成、管理および実行能力を提供できるようになります。
アドビ社のデジタルエクスペリエンス事業部門担当でエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるブラッド レンチャー氏は、「あらゆる業界のマーケターには顧客にふさわしいパーソナライズされた魅力あるエクスペリエンス提供への徹底した注力が求められている。今回の買収により、B2CおよびB2B企業の顧客体験の向上におけるアドビ社のリードが拡大し、Adobe Experience Cloudがすべてのマーケティング活動の中心に据えられることになる」とコメントしています。
今後の展開について
この買収は、許認可取得と一般的な締結条件の充足を前提とし、アドビの2018会計年度第4四半期中(9月から11月まで)の完了を予定しています。
買収完了まで両社は引き続き独立して事業運営を続行し、買収完了後はマルケトのスティーブルーカスCEOがアドビの経営陣に加入。アドビのブラッドレンチャー氏を直属の上司として、アドビのデジタルエクスペリエンス事業の一部となるマルケトチームを率いる予定だそうです。